2012年5月5日土曜日

趣味の音楽の話、その4


さて、ここで最近の音楽業界やミュージックシーンについて私見をば。


僕はここまで10枚のオリジナルMix CDを作ってきました。
これを作るのは意外に面倒で、テーマを考え、曲を選び、曲順を考慮して、
Mixを録音、それをソフトで編集・調整後、CDに焼いて、
さらに盤面デザインを考え、イラストを描いて、プリンターで印刷して、やっと完成。
けっこう大変なんです。


でもねぇ…


楽しいんですよ、そりゃあもうたまらなく!


そりゃ、プロのものに比べりゃクオリティは低いけど、でもそれと楽しさとはまた別なんです。
その上、人に聞かせて、反応が返ってくると、なんかもうブワーッてなるくらい嬉しかったりして。

さらに、自分でDJをするようになると、音楽の聞き方も変わってくる。
今まで漠然と聞いていたものが、
「なるほど、Mixする前提でこんな風に作ってあるのか…」とか、
「あ、ここであの曲に繋いだら面白いんじゃないかな!?」とか、
より掘り下げて聴くようになったりして。

今までは音楽を「何をどう聞くか」で考えてたのが、
「誰にどう聞かせるか」でも考えるようになった。
これは実際にそういう機会があるかどうかは問題ではなく、
そういう思考があることが重要なのです。
今まで受動するだけだったのが、発信する側にも回れるようになったのです。

昨今、CDが売れなくなったとか、音楽不況だとか言われますがね、
それは『音楽業界』の話であって、『音楽そのもの』は今、インターネットを通じて、
これまでならあり得なかったような広がりを見せてるんです。
今までは入手するのが難しかった、海外のレーベルの音源も、ネット上で、
それもCDと同等の音質で買えるんです。

国を超えるのは、何も楽曲の売買だけじゃありません。
例えば僕が大好きなアニソン系のリミックスの話。
放映・発売されてまだ間もないアニメのテーマソングを、
日本から遠く離れた欧米のジャパニメーション大好きなアーティストが、
彼らなりの解釈・テイストを加えてリミックス、
それをネット上で発表、時にはコンピレーションアルバムに収録されるなどして、
日本に逆輸入されたりするんです。

文化が国を超えて、凄まじい早さでやりとりされている、大げさに言えばそういうことなんです。

さらにはCDも、かつてのようにミリオンヒットが出ることはなくなったけど、
今でもたくさんのCDが発売されているんです。
それはメジャーなレコード会社のみならず、中小のレーベル、あるいはインディーズと呼ばれるような小規模なものからもたくさん。

去る4月30日のこと、都内某所で『M3』という音楽系の同人即売会がありました。
そこでは1,000を超えるサークルがブースを構え、自作のCDなどを売ったりするのです。
そこに、たくさんの『音楽好き』がやってきて、次々とCDを買っていく。

こうした活動が出来るようになったのも、全てはネット技術の進展によるものでしょう。
かつて、音楽を売るためには、大規模なプロモーションが必要でした。
多額の広告費をつぎ込み、タイアップをつけてテレビで放映し、
「今このアーティストが流行っているんだ」という印象を植えつけて、
CDというパッケージを売りさばいていく。

でも今は、ネット上の投稿サイト、ブログ、SNSを通じて、少ないコストでプロモーションできるようになった。
そこでは、かつてよりも密で近距離なコミュニティが形成され、そこで音楽はやりとりされる。
確かに、そこには『100万人の購入者』はいないかもしれない。
でも、強く結びついた『数百人の熱狂的なファン』がいるのです。
そこには、個々人のコミュニケーションという、ある種のプリミティブな喜びが、
ネットという進化したツールによってもたらされている。
誰もが、受け手にも発信者になれる、それが今の時代なんです。

そんな時代では、一方的に与えられるだけのムーブメントなど、なんの魅力もありません。
そう、もはや流行を『作る』時代は終わったのです。
それを理解できない『旧メディア』達は、未だに流行を作り上げようと必死なようですが…


話がそれましたが、結局僕が言いたいのはこういうこと。

『音楽業界が死んでも、音楽は死なない』

色々時代が変わって、今までのビジネスモデルが成り立たなくなり、
結果として音楽に携わる人達が苦しい思いをしているのは事実でしょう。
でも、ミュージシャンは音楽を『売る=提供する』のが本命であって、
CDを売るのはあくまで方法でしかないはず。

CDが売れなくなっても、『音楽』を売る手立てはある。
それは、CDをガチガチに守ることでもなく、CDに投票券をつけることでもない。
確かにアーティスト、ミュージシャンにとっては大変な時代かもしれない。
でも、ここは知恵を絞って頑張って欲しいのです。


なぜなら…



僕は音楽が大好きだからです!



【その5に続く】

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